メディア情報学部の大久保博樹ゼミナールでは、ラジオドラマや、映画・テレビの音響効果に関する研究を続けています。
2年間のゼミでは、DAW (Digital Audio Workstation)を中心としたコンピュータ・システムと人の手による擬音や楽器演奏とを、どのように結びつければ人の心に届く音になるのかを実証的に研究します。
研究の一例として、映像ストーリーの構造を分析し、ストーリーのポイントにおける登場人物と観客の心理的な状態をできる限り把握して、その心理に対して最も適した効果的な音のあり方 (作り出し方) を探求するというものがあります。
現在、3年生は短編映画を1本撮りあげ、効果音・音楽などの音の処理に取り組み始めています。
4年生は、効果音・DTM (Desk Top Music)・映像のチームに分かれて卒業制作に取り組み、年明けの発表に向けて仕上げにかかっています。
いずれも、メディア工房という映像・音響専用ラボで制作をしています。音はどこにでもある情報ですが、人が聞き分けたり感じたりする過程では奥深いものがあり、こうしたことを深く理解するために、自分の感覚やコンピュータを活用して、各ゼミ生は自ら設定したテーマを日々追求しています。
(写真2・3の注 : 擬音制作用の水車は、ニッポン放送で40年以上活躍された音響効果技師・南二郎氏(故人)が制作した小道具の一つで、ご遺族のご厚意により本学の研究と教育に提供して頂いているもの。水車のほか多種の小道具類を提供して頂いている。なお、波ざるは南二郎氏のアドバイスに従って、本学の野村教授の協力によって復元したもの。)
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写真1. DAWによるDTM。各自の制作した曲の様々な面を評価して、一つの音楽にまとめ、コンピュータ・ミュージックの可能性の探求と現時点での限界を考察している。
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写真2. ラジオドラマなど活躍した擬音制作用小道具の一つの水車。様々な水の音を作り出せることを確かめている。
写真3. 歌舞伎でもおなじみであった波ざる。ストーリーに即した波の音を作り出すための演技を、繰り返し確かめている。
写真4. 商品情報を伝えるだけと思われがちなCMの音に着目して、音作りの側面から分析し、再構成することで音作りのエッセンスをどこまで形式知にできるかを考察している。