塚本美恵子 編著「子どもたちは何を見ているのか?-教育現場における映像教材の活用から」
デジタルパブリッシングサービス 2013.3.31 197p. 2000円
ISBN978-4-86143-090-9
本書は、教育現場おける映像教材の活用可能性について、生まれた時からさまざまな映像メディアに接しながら育っている子どもたちに焦点を当て、子どもたちが映像メディアをどのように理解しているのかについて、日本とアメリカで行った4年間の研究成果をまとめた研究報告書です(科学研究費基盤研究 「映像メディアによる教育課題向上に関する研究」、研究代表者:塚本美恵子)。
具体的には、日本製アニメを、日本の子どもたちには英語版で、アメリカの子どもたちには日本版で視聴してもらった結果をさまざまな調査方法で分析を行い、子どもたちが何を見て何を記憶しているかを提示したものです。
本書は、1.基礎編、2.実践編、3.座談会の3部構成であります。基礎編では、映像視聴に関する先行研究、特に子どもの映像視聴に関する先行研究の考察や今回映像教材として使用した「雪渡り」の詳細説明があり、実践編では実際の行った調査方法および事例の報告、最後は研究参加者による座談会の内容です。
本書は、この種の研究に関するアプローチの概要や調査方法・事例などを豊富に紹介しており、基礎理論と実践が全体的に把握できる興味深い内容となっています。映像メディアの教育現場での活用を考えている教員のみならず、研究者や映像メディアに関心をもつ学生にも役立つ格好の入門書であると言えます。どうぞ参考にしてください。
表紙写真: